OHTAKI'S MODERN CARTOON

ひっこし計画と野望その1の巻

自分が暮らす町の基準というのがだれしもあると思います。

アサヌマさんは「駅から自宅まで帰る途中、猫とおばあちゃんに会うこと」だそうで、なるほどそれはいい町だろうなと思えるではありませんか。

わたしの場合は「花屋が多いこと」です。花屋の多い町はスバラシイですよ。わたしは現在住んでいる場所もそれで決めて、いろんな花屋を愛でつつ、この小さいながらもニギニギしい商店街のある町で11年ほどシアワセに暮らしてきたのです。

ところがこの夏の終わりに出かけたCKBライヴですっかり気持ちがィヨコハマ〜になってしまいまして。

わたくし引っ越すことにしてしまいました。もともと好きな町でもあることですし。また物件を探したら好みの家が希望のエリア内にトントンとみつかってしまったのですね。きゃっほーい。
ここまではよかった。

このお家のある町がですね。なんといいますか、シヴイ。というと言葉がよくて、枯れてるといいますか閑静といいますか。マーぶっちゃけていうと何もないわけですね。もうね、襟裳の春のように何もない(若い人には解らない言い回しですいません)。
商店街のちいさすぎる本屋や、暗いスーパー、閉店してしまった文房具屋。
まあね、それらはまだ「味わい」として微笑ましくとらえることもできるです。花屋、花屋さえあれば。

不動産屋のおばさんに聞きました。
「このへんにすてきなお花屋さんはないですかね?」そして古くからあるという立派な花屋さんを教えて貰ったわけですよ。

行ってみました。大きなガラスのショーケース。昔風の花屋さん。

こ、胡蝶蘭と菊と榊!

わたしは。わたしは。

アマリリス、ネリネ、ヒヤシンス、カサブランカ、ジンジャー、チューリップ、マーガレット、クレマチス、カラー。多肉植物、枝もの葉っぱもの。花びらと葉っぱ。花びらと花びらと花びら。はっぱはっぱはっぱ。

あの家で楽しそうに暮らしている自分は容易に想像できて、それはきっと間違いはないと思うのですが、問題は家の外です。10分も歩けば元町やキラキラしたすてきなヨコハマが待っているけど、その途中にあるものは寂しい商店街の胡蝶蘭と菊と榊。

あまりのことにしばらく迷って本気で泣き暮らしたです。胡蝶蘭と菊と榊。

迷って迷って何度もその町を見に行きました。そして行くたびにアチャ−と思っていたある日、駅の近くに小さな、でも可愛く花を売ろうという気配のある、言うなればミドコロのある花屋を発見したのであります。

わたくし決心したですよ。
わたしには毎日毎日いちじくを4、5パック買いつづけて、現在住む町の八百屋さんのいちじく価格を破壊した経歴があるのです。
これだ。
わたしはこのミドコロのある店で花を買いまくろうと思うのです。花が回転すれば花屋さんに活気がでて新しい面白い花をどんどん入れてくれるかもしれないではないですか。
そうすればそのうちこの花屋が愛する代官山マチルダくらいの花屋になるかもしれないのです。めら、めらめら。野望、めらめら。

胡蝶欄と菊と榊には罪はないわけで、それはそれで味わいとして愛で、わたしこの小さな花屋に望みを託して引っ越す決心をしたんであります。さあ、この野望はどこへ行き着くのでしょうか。
 

tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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