OHTAKI'S MODERN CARTOON

ヨコハマ肉事情の巻

 
 ヨコハマに引っ越してきてもう1年半です。 
いろんな発見がありました。 
発見ができるのは異邦人でいられるうちです。どんなにヘンテコなことだって、どんなにキテレツなものだって、それが日常であれば、それは発見にはなかなか繋がりません。 ひとはそれをアタリマエだと思ってしまう。
(でもまあアタリマエのことなんかそうそうありはしないとわたしは思うのですが、なんだって「アタリマエじゃん!」という理由で解決するのが好きなひとは多いような気がします。)

まあそれはさておいて。

発見のなかでも興味深いのは食生活です。 

なにしろ面白いのは肉屋です。 
東京の肉屋には自家製コロッケが多いですが、ヨコハマ中区においては(他の区まで手が回りません) おどろくほどの確率で自家製の赤いチャーシューを売ってます。どんなにちいさなお肉やさんでも、ちゃあんと赤い自家製チャーシューがおいてある。チャーシューだけならまだしも焼売がつくねんと並んでいる場合もけっこう有ります。どうよ。やっぱり中華街が近いせいですかね。これはなかなか不思議なもんです。
ウインナーやハムも自家製の場合が多いです。本牧通りのブッチャースギヤマではおじさんが大きな窯で薫製にしたおいしいソーセージやハムなんかがあれこれあってわくわくします。
各店舗でチビチビ食べ比べてみますが、どれもちょっとづつ違いがあってなかなかおいしい。 ユニオンはチャーシューは好みだけどウインナー系はちょっと脂こい、とかね。

しかしです。なにより衝撃なのは、挽肉の脂肪率です。
「赤身たっぷり挽肉」と表示されていても、「あらやだ誤表示?」って思うくらい脂が多い。じゃあ普通のはどうなっているかというと腰が抜けそうになるくらい脂でまっしろです。確かに比較すりゃ赤身だけどさあ。

一年前まで暮らしていた目黒区界隈じゃ赤身挽肉ったらもうね、脂肪なんかチラとしか入ってなかったですから。イマドキ脂のある肉なんか流行んないザマス、っちゅーか、肥満を気にする昨今の食文化に於いては脂身の多い肉なんか食ってるバヤイじゃないといいたげな赤肉のタタズマイ。

ただヨコハマっていう場所は常に思い出の町ですから。
現在ですらすでに思い出というか、思い出の進行形っていうか。マーはっきり言うと時間が止まっておるわけです。
時間は経っているものの、しくみは古いといいますか。

思うに、肉に対する姿勢までが昔のままなんじゃないかと。つまり、肉っていうのはご馳走で、それはなんでかっていうと肉の旨みは脂にあり、脂あってこその肉、ということなんじゃないでしょうかね。

わたしの推理が正しいかどうかはわかりませんが、ヨコハマの老舗洋食屋は全体に脂こいです。それはバタ(あえて音引きは無しで)や肉こそがハイカラな御ご馳走だった頃の名残なんではないかと、思ったりしています。

どうです、発見でしょう。
ていうか赤身の挽き肉を買わせろ。
 

tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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